中古スマホ市場の動向と、スマホ買取の現在
2021年現在ではスマホが不要になった際、「専門業者に買い取ってもらう」というのは、当たり前の選択肢になりました。今回はこれまでの中古スマホ市場の動向を振り返りつつ、スマホ買取の現在を考えていきましょう。
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携帯電話(ケータイ)は1990年代から一般に普及し始めました。いわゆるガラケーがその起爆剤といえるでしょう。
ポケットに収まるサイズで1991年にドコモから発表された「mova(ムーバ)」シリーズはまさに衝撃的な商品でした。1990年には26万台しか使われていなかった携帯電話はmovaが発売された1991年には53万台と倍近く普及。
さらに1999年にはやはりドコモからインターネットに接続できるiモードが発売され、翌2000年にはカメラを搭載した携帯電話が登場。ケータイは単なる‟話す道具”から‟マルチなコミュニケーションツール”へと進化したといっていいでしょう。
そして時代は進み、スマートフォンが主流になりました。デフォルトで多くのアプリケーションを搭載しているだけでなく、必要ならばインターネット上からアプリケーションのダウンロードを行うことで、ガラケーに比べて驚くほど多彩な機能を実現可能です。
中古スマホの販売台数は2017年度が約154万台、2019年度は約163 万台と年々増加していて、2025 年度には販売台数265万台の見込みとの予測もあります。
2021年6月18日に総務省が発表した、電気通信サービスの契約数やシェア動向に関する報告書『電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和2年度第4四半期(3月末))』によると2021年3月末時点、つまり2020年度末の携帯電話契約数は1億9433万件ですから、現段階で約1%が中古スマホを利用しているということになります。
2021年時点では中古スマホ市場は年々成長していると言えるでしょう。
ところで、スマホの買い替えで絶対に必要なのがSIMです。一般的に中古スマホ市場においてはSIMを巡る動きが影響を与えると考えられていると言えるでしょう。
SIMとはスマホに必ず装着されているICカードで、契約者の識別番号や電話番号、メールアドレスといった属性情報が記録されています。機種変更をするたびにそれらのデータを新しい端末、つまりスマホに入力しなくていいのは、いままで使っていたスマホのSIMを新しい端末に差し込むだけで済むからです。
従来はSIMにはロックがかかっていて他の移動体通信事業者(キャリア)に乗り換えると、いままでのSIMは利用できませんでした。これにより中古スマホのハードルが上がっていたのも事実だと言えるでしょう。
皆さんもスマホを変える時にキャリアの契約代理店へ行くと新しいスマホを0円で購入可能だと案内されたり、場合によっては10万円を超えるキャッシュバックがあるのを見たりという経験をしたことがあるはずです。キャッシュバックはともかく0円というのは実は一種のマジックで、契約書をよく見ると毎月の利用料金に月々の分割で端末の料金を支払っていることが分かります。
だからこそいわゆる‟2年縛り”が存在したわけですが、SIMロックは他社のSIMで利用できないようにすることにより、端末料金の踏み倒しを防ぐという意味もありました。しかし、それ以上に顧客を自社から他社へ取られないためという意味合いが強かったという見方もあります。
この状況に一石を投じようと動いたのが総務省です。2007年には総務省の有識者会議「モバイルビジネス研究会」を発足。SIMロック解除をキャリアに求め続けていました。
しかしキャリアはというと上記したような0円端末や高額のキャッシュバックなどで自社の顧客を増やしてSIMロックによる囲い込みに繋がる動きを展開。これには既にほぼ普及が終わったスマホに対して、キャリア間での熾烈な‟パイの奪い合い”が繰り広げられていたことが背景にあったのでしょう。
そこで総務省は2014年からキャリアに対する態度を硬化。ついに2019年の電気通信事業法改正によっていわゆる“通信と端末の分離”を義務化。
2021年5月28日に公開された有識者会議「電気通信市場検証会議」の中に設置された「競争ルールの検証に関するWG」の「スイッチング円滑化タスクフォース」での議論の結果を受けてSIMロック原則禁止を決定しました。中古スマホの市場への影響も注目されています。
総務省の2018年度の電気通信事業分野における市場検証に関する年次レポートによると中古端末の流通に関する認知度・利用意向調査では「既に利用したことがある」8.7%、「利用したことはないが今後 利用したい」15.9%、「知らなかったが今後利用したい」4.0%、という結果となっていて、全体の 30%近くが中古端末に対する認識があるか、利用意向があることがうかがえます。様々なデータから2021年現在、中古スマホを利用している人は一定数存在すると見て良いでしょう。
中古スマホの利用者増加に合わせ、中古スマホ買取サービスも成長しています。これは新しいスマホへ乗り換える時に、いままで使っていたスマホをキャリアの契約代理店に下取りしてもらったり、中古スマホとして買い取ってもらったりできるサービスのことです。
様々なスマホ買取サービス実施企業が加盟するリユースモバイル・ジャパン(RMJ)と携帯端末登録修理協議会(MRR)による「リユースモバイル関連ガイドライン検討会」がとりまとめたガイドラインも、2019年3月には初版が発表されました。
例えば外装評価や保証期間については、以下のように記載されています。
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Sクラス 未使用品(新品同様の状態) Aクラス 目立つ傷がなく非常にきれいな状態 (液晶への傷がなく外装の傷・汚れが微細) Bクラス 細かな傷・薄いかすり傷があり、使用感がある状態 (液晶に薄い傷や、外装に微細な傷・汚れ等が多少見受けられる) Cクラス 目立つ傷や擦り傷等があり、明らかな使用感がある状態 (液晶に目立つ傷・複数の傷がある。全体的に傷・汚れ・塗装剥 れが目立つ) Jクラス 目に見えてダメージがあり、激しい損傷または破損している状態 (液晶を含め全般に傷や打痕や割れ等がある)
保証期間 S・A・Bランクは、取引日より 30日(以上)の 設定が望ましい。 Cランクは、取引日より 14日(以上)の設定が 望ましい。 Jランクは部品取り用あるいは再資源化とすることが望ましいが、消費者向け、あるいは修理事業者等へ販売する場合は、保証の有無を明確に表示する。利用者情報が消去できない端末は 販売しないことが求められる。 |
スマホを買い取ってもらう時に気になるのが個人情報ですよね。自分の携帯番号だけでなく、「電話帳」に登録してある友人や肉親、会社などの情報、lineやSMS、メールを利用している場合は遣り取りした文章やメールアドレスなどなどスマホの端末には個人情報がギッシリと詰まっているからです。
リユースモバイルガイドラインでは、個人情報についても規定されています。心配な方は1度目を通してみるとよいでしょう。
ところで、スマホってどれくらいの間隔で買い替えるものだと思われますか。内閣府が2018年に発表した「消費動向調査」によると、スマホの平均利用年数は3~4年です。早い方は新機種が出るたびに買い替えるという方もいらっしゃるでしょう。
スマホは機種の特性上、数年おきに買い替えていくアイテムです。中古スマホ市場の動向に着目することで、買い替え時・売却時にその情報をいかせる可能性があるでしょう。